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VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン

新しい「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」の策定について

平成14年4月5日 厚生労働省労働基準局

近年、マイクロエレクトロニクスや情報処理を中心とした技術革新により、IT(情報技術)化が急速に進められており、VDT(Visual Display Terminals)が広く職場に導入されてきたことに伴い、誰もが職場においてVDT作業を行うようになり、VDT機器を使用する者が急速に増大している。
また、最近においては、ノート型パソコンや携帯情報端末の普及、マウス等入力機器の多様化、様々なソフトウェアの普及等に見られるよう、VDT機器等は多様化する状況にある。

このような状況の中、現状のVDT作業における問題点も指摘されており、労働省において平成10年に実施した「技術革新と労働に関する実態調査」によれば、VDT作業を行っている作業者のうち、精神的疲労を感じているものが36.3%、身体的疲労を感じているものが77.6%にも上っている。
このため、厚生労働省においては、VDT作業に関する専門家により構成された「VDT作業に係る労働衛生管理に関する検討会」(座長 独立行政法人産業医学総合研究所理事長 荒記俊一)を設置し、VDT作業における安全衛生管理のあり方について検討を行ってきたところである。

今般、この検討結果を受け、VDT作業者の心身の負担をより軽減し、作業者がVDT作業を支障なく行ことができるようにするため、新しい「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を策定した。

新VDT作業ガイドライン策定の背景
職場におけるIT(情報技術)化の急激な進展
VDT作業の一般化とVDT機器使用者の急激な増大
VDT機器等の多様化
VDT作業者の心身の疲労感が多い

職業におけるITの情報

VDT作業ガイドラインの概要

1. 対象となる作業

対象となる作業は、事務所において行われるVDT作業(ディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT(Visual Display Terminals)機器を使用して、データの入力・検索・照合等、文章・画像等の作成・編集・修正等、プログラミング、監視等を行う作業)とし、労働衛生管理を以下のように行うこととした。

2. 作業環境管理

作業者の疲労等を軽減し、作業者が支障なく作業を行うことができるよう、照明、採光、グレアの防止、騒音の低減措置等について基準を定め、VDT作業に適した作業環境管理を行うこととした。

3. 作業管理
(1)作業時間管理等

イ 作業時間管理

作業者が心身の負担が少なく作業を行うことができるよう、次により作業時間、作業休止時間等について基準を定め、作業時間の管理を行うこととした。


  一日の作業時間 一連続作業時間 作業休止時間 小休止
他の作業を組み込むこと又は他の作業とのローテーションを実施することなどにより、一日の連続VDT作業時間が短くなるように配慮すること。 1時間を超えないようにすること。 連続作業と連続作業の間に10〜15分の作業休止時間を設けること。 一連続作業時間内において1〜2回程度の小休止を設けること。
業務量への配慮
作業者の疲労の蓄積を防止するため、個々の作業者の特性を十分に配慮した無理のない適度な業務量となるよう配慮すること。

(2)VDT機器等の選定

次のVDT機器、関連什器等についての基準を定め、これらの基準に適合したものを選定し、適切なVDT機器等を用いることとした。

デスクトップ型機器
ノート型機器
携帯情報端末
ソフトウェア
椅子
机又は作業台
(3)VDT機器等の調整

作業者にディスプレイの位置、キーボード、マウス、椅子の座面の高さ等を総合的に調整させることとした。

4. VDT機器等及び作業環境の維持管理

VDT機器等及び作業環境について、点検及び清掃を行い、必要に応じ、改善措置を講じることとした。

5. 健康管理

作業者の健康状態を正しく把握し、健康障害の防止を図るため、作業者に対して、次により健康管理を行うこととした。

(1)健康診断等

イ 健康診断

VDT作業に新たに従事する作業者に対して、作業の種類及び作業時間に応じ、配置前健康診断を実施し、その後1年以内ごと1回定期に、定期健康診断を行うこととした。

ロ 健康診断結果に基づく事後措置

健康診断の結果に基づき、産業医の意見を踏まえ、必要に応じ有所見者に対して保健指導等の適切な措置を講じるとともに、作業方法、作業環境等の改善を進め、予防対策の確立を図ることとした。

(2)健康相談

メンタルヘルス、健康上の不安、慢性疲労、ストレス等による症状、自己管理の方法等についての健康相談の機会を設けるよう努めることとした。

(3)職場体操等

就業の前後又は就業中に、体操、ストレッチ、リラクゼーション、軽い運動等を行うことが望ましいこととした。

6. 労働衛生教育

VDT作業に従事する作業者及び当該作業者を直接管理する者に対して労働衛生教育を実施することとした。また、新たにVDT作業に従事する作業者に対しては、VDT作業の習得に必要な訓練を行うこととした。

7. 配慮事項

高齢者、障害等を有する作業者及び在宅ワーカーの作業者に対して必要な配慮を行うこととした。

VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて

基発第0405001号 平成14年4月5日


都道府県労働局長 殿

厚生労働省労働基準局長


VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて


 VDT(Visual Display Terminals)作業における労働衛生管理については、昭和60年12月20日付け基発第705号「VDT作業のための労働衛生上の指針について」(以下「705号通達」という。)により、関係事業場に対して指導を行ってきたところであるが、近年、職場における情報技術化が急速に進められており、VDT作業が広く職場で行われ、職場環境、作業形態等についても大きく変化するとともに、心身の疲労を訴える作業者が非常に高い割合を占める状況にある。
 このため、VDT作業に関する各方面の専門家により構成された「VDT作業に係る労働衛生管理に関する検討会」を設置し、VDT作業における労働衛生管理のあり方について検討を行ったところである。
 今般、この検討結果を踏まえ、上記指針を見直し、作業者がVDT作業を支障なく行うことができるよう支援するために事業者が講ずべき措置等について示した「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を別添のとおり策定したので、今後は、これにより関係事業場を指導されたい。
 なお、本ガイドラインは、事務所において行われるVDT作業を対象としたものであるが、ディスプレイを備えた各種機器を使用して、事務所以外の場所で行われるVDT作業等についても、できる限り本ガイドラインに準じて労働衛生管理を行うよう指導されたい。
おって、705号通達は廃止する。

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